神奈川県の先生から、質問を受けた。子供や,大人の初心者が歩み足で面を打つのだが、一拍子の打ちにならないので何か矯正方はないかとのお尋ねです。
先ず厳密に、一拍子のうちと言う事になると、可也の高段の方々でも出来る方々はわずかな数ではないかと考えます。
なぜなら、以前この日記の中でも書きましたが持田先生が50年かかった身に付けた打ち方が一拍子の打ちではなかろうかと推察したからです。
ですが、それはそれ、段階的に一拍子で打てるようになる努力はして行かなければ成りません。
そこで、先ず歩み足で左足が前に出て振りかぶり、右足を出す時に打ち込む。この二拍子 の打ちを直させるためには,いくつかの矯正法があります。
先ず面を打つときの足捌きには、大きく分ければ3種類有ると思います 。
1送り足、右足左足右足と動かして打つ場合。遠い間合いから攻めて打つ場合に良く使われます。 この時にも歩み足になる場合が多い。
2継ぎ足、一寸間が遠いかなという時、左足を引き付け、直ちに右足で打ち込む。継ぎ足からの面。
3にその場から、左足を動かさないで即座に打ち込む、出鼻面のような形の物。 これが一番一拍子に近い打ち方になると思います。
では何故歩み足になるかを考えてみたいと思います。間合いが遠いと感じるからではないでしょうか。間合いが遠いと感じるから近くに入らなければ打てない。
それと打つときのタイミングの取り方です。振り上げて、振り下ろす。丁度左足を踏み変えて右足を出すのとタイミングが合うからです。
そこで矯正の方法とすれば、その二点を先ず解消する事を考えてみて下さい。
先ず、間合いは打ちやすいように少し近間で打たせることです。最初から遠い間合いで遣らせようとすることは欲張りすぎです。初心者は竹刀の長さすら感覚的に分かりません。
ですから、自分が打てるという間合いを取らせます。
二番目は、タイミングですから、一拍子を意識させるためには、左足の蹴り出しで打つことを学ばせなければ成りません。
そこで、先ず構えたまま、剣先を上げる事なく右足を少し前に滑り出させて、其処から打たせるようにさせてみた下さい。
こうすれば嫌でも一拍子でなければ打てません。初めの間は打突後の左足の引き付けも余りやかましく言う必要はありません。一拍子で気剣体の一致で打つ感覚を掴ませてから、次の動作のリクエストを加えていくようにします。
剣道はいくつもの複雑な動作を一度にしなくてはなりません。ですからそれを出来るだけ分解して、分かりやすく遣らせる方が早道です、急がば廻れでは在りませんが、その方が理解しやすいと思いますよ。