Canada Youshinkan Kendo Dojo

全日本剣道連盟居合。「制定居合」、講習会覚書

下げ緒は房のほうを幾分長く持つこと。そのほうが絡まない。

刀の持ち替えは体の前で右手を左手の上から鍔越に下げ緒と鞘を持ち代える。

礼法

最初の刀礼は少し刀を斜めに出して、刀を持ち代え、斜めに出して、鍔が右ひざのラインに置くこと。この時刀は右斜めになる。刀の中心が自分の前に来る。

左手で刀を斜めに出す場合,出しすぎないで、体の前で小さく、静かに、左手から右手に受け渡す。

最後の刀例は必ず体に平行に置くこと。

帯刀は必ず臍の前から相手を注視しながら、帯にさし、横腹の位置で左手で帯と鞘を抑えて、刀を帯に差し込む。

帯刀後、鍔の中心が臍の前になる

右手の柄へのかけ方(持ち方)は1.2.3.4.8.10.手首を折らないように、手首は床と平行になり、指先だけで柄に触れて抜き出す、手の平、指は深く掛けない。

刀の抜く角度、方向を決めるのは、あくまでも鞘で、右手を絶対に使わない。 

刀を返すのは必ず抜刀の中頃から徐々に鞘を返す。 

 

*:刀を平行に抜いた場合は小指で柄を押し、切っ先を持ち上げる為に水平にする事が出来る。極秘事項

5本目の袈裟切りは、鞘の回転を遣り易くする為に、左手の親指を右寄りに深く、鍔に掛ける。この時も手首は折らない。鞘の回転に応じて手首もそれに連れる。

6.7.9.11.12は柄を胸に抱くので、自然に手首が折れた状態で柄を握る事になる。

正座の切り下ろしは原則は切っ先が幾分下がる。立ち居合いの切り下ろしは原則水平まで切り下ろす。この水平は切っ先が鍔の外輪と同じ高さで止める

片手抜き切りの場合、刃は体に近く、髯を剃る位の位置でぬきあげるのが良い。

その場合切る対象物の位置まで鍔を上げる。頭上なら頭上まで、肩なら肩まで。

制定居合の教本の中で一度説明された遣り方は、同じ動作をする場合は他の技でも、説明書には書かれていないが、必ず同じ動作で遣る。

個々の技の留意点は、技毎に記す。

1前の解説

正座の状態(お尻を踵に付けないで少し浮かせておく)から、両手をゆっくり掛けて、鍔が臍前にあるので、柄頭で相手の眉間を攻めて行く為に柄頭を体の中心に押出して行きながら、抜刀の途中で鞘を返し、鞘離れした瞬間は小指で柄を押さえて、刃を水平にしながら、小指から順番に閉めて行き、腕の動き,肘の動き、手首の動きをも一同に利用して、鞘引きをして、真一文字に目に抜きつける。右手の柄に掛ける状態は手首を折る事無く、床に平行。指先で柄に触れている感じで刀を引き出す。

抜きつけた瞬間は刃の角度と鞘引きした鞘の角度が水平でなくてはならない。

鞘の角度で刀が抜けて行くのであれば当然のことである。此処に誤魔化しが有ると、簡単に見抜ける。

切り付けた刀は其の侭の角度で手首を緩めて、刃を横にしたまま耳の横へ剣先が来る様に、そこから大きく高く振りかぶり、切り下ろす。

目への切り付けは浅いから二度目の真っ向きりが必要な訳で、切り付けが浅いと言うことは相手の逆襲も考慮しなければならない。その為に耳までの振りかぶりは刃を水平のまま維持する必要がある。万一の場合、其の侭再度切りつけることが出来る。

耳の横まで横刃で来た剣先を後ろを突く感覚で、頭上に大きく高く振りかぶり、頭の上で止めることなく、正面を切り下ろし、切っ先は膝よりやや下で止める。

切り下ろした相手は倒れるので、目線は、下に下ろし、4~5m先の床を見るように、この時首は折らないで目線だけを移す。

血振りは、切り下ろした手の内を変えることなく、刃先を相手方向に向けたまま、刀を体側に上げ、腕が真横に来たとき、切っ先は斜め後ろ後方に鷹の羽が開いたごとく大きく広げ、(万一相手が動いた場合その場から刃を戻して切りかかれる)そこから右ひじだけを曲げて敬礼の位置に手を持ってくる。

切っ先は右斜め後方に広がったまま、柄頭は顔の中央に来るが、柄の下から相手は確認できる。其処から袈裟に切るごとく振り出して同時に立つ。切っ先が右後方から振り出されるために血振りが大きく、振り下ろす刀にも勢いがつく。

血振りの切っ先が膝の高さで、止まるのと、立つのは同時で、危剣体一致動作出なければならない。

換え足をして、納刀に刀を引くときは鍔元より、ゆっくりと引き、切っ先が鯉口を持つ左手の指の間に落ちた瞬間に左親指を帯に擦り付けるように手首を返し、切っ先を鯉口の中に安全に収め徐々に後半に成る程ゆっくりと納めていく。

納刀しながら体を沈めていくが、鍔が鯉口に当たる瞬間膝が床に着くが、膝を完全に床に下ろさないで、床に僅かにすれたら其の侭立ち上がる。膝が、完全に床に着くと、体勢が崩れて膝の着いた方に揺れるのを防ぐためである。

立ち上がって、柄から手を離すと同時に目線も上げ、遠山の目付けになる。

その他の注意事項は、納刀の刀を引く時古流とは違うので、ス~と引くように。

急いで、サッやパッとは引かない。あくまで基本通りユックリやる

2 後ろの解説

背後に気を配りながら、両手をゆっくり刀に掛けて、刀の鯉口を切り、足は爪先立つ。

刀と鞘を腰ごと後ろに押しまわすと同時に、左膝を思い切り開き上げる事で体の回転を早めて、刀は真後ろに向かい中頃から横に水平にしながら抜いていく。刀を鞘離れ同時に左足を左に踏み込み、同時に切りつける。

この場合抜きつけと、左足の踏み込みの気剣体の一致を試みるもので、相手に対して正対していなくても良い。

事実相手は、自分の真後ろに座していたとすれば、後ろに回転したときは、幾分右手に座している事になる。

後の他動作はは前に順ずる。

3受け流しの解説

正面右向きに座す。

1で素早く刀に手首をを折る事無く、右手の甲を平らに柄に掛けてかけ相手を見る。

2で刀を左胸に取り鯉口を切りながら、右足だけをつま先立てる。

3で左足を、右膝の内側につま先を左に向けて踏みながら、相手の様子を伺いながら、そのタイミングに合わせて、頭上に刀を抜いていく。

4で相手が打ち込んできたところを、右足を左足に対してカタカナのイの字になるように踏みながら体を相手に正対して、耳横一握り、耳前一握りの位置に腕を伸ばして、立ち上がり、相手の刀を受け流す。受流す瞬間は体は相手に正対している

受流しは相手の打ち下ろして来た刀の勢いを利用して頭上で回転させ、小指を握り、耳横一握り、耳前一握りの位置に腕を伸ばして、刀を立てて、その場から左足を引きながら、相手の袈裟にめがけて切り下ろす。

左手は、刀を切り下ろしてくる途中で掛ける事。腕が伸びた状態で左手は添えない。添えた場合は刀が其処で止まる、また、刀の位置が頭上に移動する危険性が増す。刀はその位置から切り下ろす。頭上に持って行きやすいので要注意。

切り下ろした、切っ先の位置は、腰骨から僅かに出たところ斜め前になる。

また後ろに引いた足と右足は一直線上に位置し、両爪先は相手の方向に向く。

この受け流しのタイミングの取り方、早すぎれば相手に変化を許し他の場所を切られる恐れがあるので、あくまで相手が自分の頭に切ってくる様に仕向けなければならない。その間づもりが受け流しに入る非常に大切な要素となる。

納刀の説明は省略する。通常通りにやる。ただ刀を逆手に返すとき、小指を鍔に掛けた方がやり易い。

4柄当て

立てひざの姿勢から、相手の水月に柄当てで打つ、その後体を足とともに左に開き、刀を抜きつつ中頃から横に返し鞘離れの瞬間右手小指で柄を押さえ、上がった切っ先の、峰物打ちあたりを左胸に取り、左手を臍前に絞り込むと同時に後ろの敵をつく。

そのとき、柄は右腕の下に入り柄の保持が安定する。立てた右ひざは動いてはいけない。

この時に注意するのは刀の手の掛け方で

1本目の前と同じ手の掛け方で、刀を返すも中頃から、右手の手の刀に対する持ち方は前と同じ。解説書には書いていない。

 

 

後ろをついた後、二秒ほど残心確認を取り、三でその場で顔を相手に向け、体を正面に向けながら刀はその位置から頭上に振りかぶり、切り下ろす。

くれぐれも刀は引き抜いてから振りかぶるのではない。突いた場所から体のひねりで自然に引き抜ける。

横に開いての血振りは剣先と鍔が一緒に横に移動する。開くとき、真横でなくて少し斜め前に出すようにすると剣先と鍔を同時に動かせ簡単に出来る。

直伝流の場合縦の納刀になるので、鞘引きのときコジリで床を打つことがある、そんな癖がある人は、刀を45度斜めにして縦の納刀をすれば床に当たらない。

納刀の時、鍔が右ひざ頭と並んだとき、右足を真っ直ぐに引き、左片膝付の蹲踞の姿勢に戻る。体は正面に向き正対して、絶対に開かないこと。

立ち上がるとき、右足を大きく前に出さないで出来る限りその場で立つ様に心がける。

5袈裟切りの解説。

左手親指を鍔内側に深く掛けて、鯉口を切る。刀を帯の高さで床に水平に抜き出しながら中ほどから徐々に左手は逆さに返して、右手は柄が返るに伴い手首を柄に被せて行き、柄頭は相手の水月の高さになる頃に、下から腰をひねり、相手の横腹脇に切り上げ、其の侭ハスに肩まで切り抜けて、右腕は右耳一握り横&前の位置に刃筋を変える事無く切り上げて、其処で手の内を緩めれば刀は自然に刃先を相手に向くように変わる。コツとしては、手の内の力を緩めて、再度小指を閉めると効果的に返る。

其の侭の位置から、剣先を止める事無く、また後ろに反らせる事無く、ひねった腰を戻しながら右手でおなじ方向に切り下ろしつつ、途中で左手を添えて、腰の外まで切り下ろす。

八双の構えは左拳が自分の水月の前、鍔が口の横一握りで刃は相手に向かい剣先はやや右に開く。

それから、血振りに移る前に、左足を引いてくるが体が相手に正対する位置まで、刀を振らないで、手首を僅かに角度を内側に体につれて刃先を入れる、其処から血振りに入る。

この動作は、羽賀の親父直伝で、そうすることにより、血振りまでの溜めが出ることと、血ぶりの刀の円弧が大きくなり大きな血振りが出来る。

 

袈裟きりの切り上げた右手の位置と、受流しの受流した瞬間の右手の位置は同じである。また、袈裟に切り下ろした刃先の位置も腰骨のやや外側で同じである。

 

 

6諸手突きの解説

1右足を出す。2で左足を出すと同時に刀に手をかけ、其の侭左胸に鞘を抱く

 

手の掛け方は前と同じだが、胸に抱きかかえた分自然に手首が折れた状態になる。

指を浅く掛けることで、刀をつかんだとき、小子球が柄峰に乗り切り手となる。

 

3で、右足を出しながら、刀を抜き始め右足の止まると同時に左肩を引いて半身になり、相手の右面から左あごまで片手で切り下ろす。角度は40度~45度。

刀が抜けていくのは自分の顔に近く、髯を剃るくらいに刀が抜けていくのが良い。

顎まで切り付けたら、左足を前に送り、剣先を相手の喉に付け、中段の構えとなり、さらに1歩送り足で踏み込んで、相手の水月をもろ手で突く。

この時に大事なのは剣先の高さ。片手切りした、あごの高さ、中段に構えたにどの高さ、諸手突きの水月の高さを、確実に示さなければならない。

 

足は、剣道に準じているので左足が送り足で幾分引き付けられてもかまわない。

 

水月をついた後、左足を左に開き、踏み変えて、腕をたたみ、刀を自分のコメカミ辺りに引き上げて、其処から受流しの気持ちで刀を高く振りかぶり、後方の相手に右足を踏み出すとともに真っ向から切り下ろす。

再度、左足を開き踏みなおして前の敵を真っ向から切り下ろし、刀を横に開いて血振り納刀。

足を開くことにより、刀は自然に相手から抜けるので、ことさら引き抜く動作は入れない。

また足を開くことで進路が開くので前を突いた刀の刃筋が一直線上で後ろの敵に向かうことになる。

 

刀を強く握りすぎると剣先が背中の方に入り刃筋が一直線上に行かなくなるから気をつけること。

 

7三方切りの解説

右足より歩き出し、4歩目で刀に手を掛けて鯉口を切り、正面の敵に行くぞと威圧を掛ける。この時点で刀は抜き出さない。あくまで鯉口を切るだけ。

すかさず、刀を左胸にとり、右足を右斜め前に踏み出し、右側の敵の脳天より片手で切りつける。切り付ける角度はほぼ10~15度。刃は体近くすれすれに抜き上げていく

 

正面の相手に再度注視して、眼力で牽制を送り、足をそのまま踏み変えて、左側の相手を真っ向から切り下ろし、最後に正面の敵に右足より踏み込んで真っ向から切り下ろす。

この時の刀の振りかぶり方は全て、コメカミから振りかぶり、以前、他の業で、行った動作と同じである。

其処から右足を後方へ引き、三方への残心(気を配る)を示しながら上段に取り、

左足を引きつつ、体が相手に正対すると同時に右手の刃を少し内側に入れて、血振りと同時に、左手は鞘を帯の上から押さえ、納刀に入る。

この血振りの時も足を後方に引き止るときと同じにして、気剣体の一致を怠ってはいけない。

8顔面当ての解説

1右足を前に踏み出す。

2で左足構えになるとづじに刀に手を掛ける。

3歩目の踏み出しと同時に相手の眉間に向けて柄頭を腰から一直線に押し出して打つ

相手が下がるので、刀の鞘をその場から引き中ほど抜いたところから鞘を返し刃を横にする。

鞘離れと同時に体を反転し後ろの敵に正対し、刃と鞘を床と水平に刀と鞘を腰に取る。

そのとき後ろ足と前足は完全に平行で、相手に正対していること。

後ろ足が撞木になりやすいので要注意。

右足を踏み出すと同時に鞘引きをしながら、相手の水月に片手突き、左足を開いて、後ろに反転して、後ろの顔面当てをした敵に真っ向から切り下ろす。

片手突きは、相手の水月を突くのであるから剣先はやや上がる。

刀を振りかぶる動作は他のわざと同じ。横血振り、納刀。

9添え手突きの解説

右足から歩き出し、左足前で相手を見ると同時に刀に手を掛ける。

三歩目の右足は其の侭真っ直ぐ踏み出して、刀を左胸にとり、左足を左後方に引くと同時に、相手に正対し、刀を肩口まで上げて片手で相手を袈裟に切る。

右足を外に開いて引き付けて、刀を腰に取り、柄は腕の下に入れて安定させて、右手は刀の中ほどより幾分前方に親指と人差し指で鎬を挟み、左足を踏み出すと同時に相手の腹部を刺す。

腹部を刺す刀は手をことさら大きく動かすのではなく腰の移動で刀の水平を確実に維持しながら鋭く刺す必要がある。

10四方切りの解説

右足より踏み出し、左足前で刀に手を掛け、三歩目の右足を右斜め45度に踏み出し、刀を横に返して、柄で相手の刀に手を掛けた、手首を打つ、相手が下がるので、その場で両足の方向を後ろの相手の方向に幾分踏み換えて、鞘を引きながら体をを開き、鞘離れと同時に刀を水平に左胸に取る。

この鞘離れの瞬間に使う右手小指の使い方は前と同じ。

左足を踏み込み右足を送りながら、左手の鞘を臍前に絞り込み、後ろの敵を水平に突く。その時、柄は右腕の下に入り安定させる。

その場で刀を頭上に取り、左足を、最初の敵の方向にに踏み出し、真っ向から切り下ろす。

右足を45度右に踏み出し、右手の敵を切り下ろし、脇構えを取りながら、左足を開いて踏み換え、90度方向転換して最後の敵を真っ向から切り下ろす、その後四方に気を配り上段で残心を示しながら、血振り納刀。

注意すべき点は、脇構えの剣先の高さ、剣道形に準じて、下段よりも低いことを忘れてはならない

刀の振りかぶり、足のさばきは全て他の技に準じる。

11総切りの解説

左足を引きながら右足も引き、刀を左胸に取り、真上に抜き上げて相手の切り下ろしを見切り、相手の左面に切り下ろす、此処までは一息の動作。とまる事はない。

送り足で、前に進み、相手の右肩口から胸まで切り下ろす。この時刃は確りと止める。

再度、送り足で前進しながら、相手の左脇から臍まで切り下ろす。刀は確りと止める。

また送り足で前進しながら、刀を左腰に取り、刃を横にして、相手の下腹、帯の高さを横真一文字に切る。この時剣先が高くなる嫌いがあるので、確実に相手の帯の高さを切るように。

この時に、羽音が出ないようであれば駄目。刀の柄頭を自分の帯に付けて其処から切ると、何故か刃筋が立ちやすい。切る幅は、前方120度位の幅を刃を横に真一文字に切るのが良い。

其処から、刀を頭上に運びもう一歩踏み込んで真っ向から切り下ろす。

この前進していく過程は、刀が浅手で完全に切れていないから追い込んで切り込んでいくと解釈すればよい。

12抜き打ちの解説

刀を左胸に取り、鞘引きと同時に左足から送り足で後ろに下がり、左肩を引いて、鞘引きをして其の侭頭上に刀を抜き上げて、前に踏み込み真っ向から切り下ろす。

右足を後ろに引いて横の血振り、納刀をして、再度右足から送り足で一歩前進して終わる。

鞘引きをした鞘は帯に落としたままにしたほうが早く抜け、手を切る危険性が少ない。

 

刀を頭上に抜き上げる時は、左肩を十分に引くことを忘れては行けない。

 

頭の上で刀が止まる事無く一連の動き、一拍子の動き切り下ろしを心がける。

 

 以上、書き損じているところがあるかもしれませんが、思い出せばまた追記します。

表現で分からないところ、誤字脱字等、不明なところがあらば、連絡ください。

この資料は熊が個人的に指導を受けて居るために熊の癖や矯正点を指摘されている部分が多いと思いますが、参考にしていただければ幸甚です。

 

文責、 熊