バンクーバー剣道クラブの道場で、長年にわたり稽古、指導をされてこられた、川平先生がなくなられた。
カナダでは、戦前の剣道家の中で、この方だけが、齢70を過ぎても身にお道具をまとい、道場に立たれていた。
今まで、カナダでは先ずこの年齢まで、道場に立たれる先生は居なかった。
お稽古は一度もお願いした事は無いが、カナダでは貴重な存在の方だっただけに残念だ。
戦前、戦中、戦後の苦しい日系人虐待の中を生きてこられた、生き証人の一人でもあられた。
以前、日本から、高齢者剣友会の方々が、交換稽古会と交換試合いにお見えられたとき、カナダ側で只一人勝ち星を上げられ、意地を見せられた。
昨夜、今日葬儀と聞いたが、今、如何しても手を離せない仕事の事情があり、参列は適わないが、此処にこうして、記憶の中に先生の事を書いておくのも、先生のご供養になると考えた。
これで、恐らく戦前からのカナダ生まれの剣道家が居なくなった。
カナダ剣道史の、表舞台には出てこない方ではあるが、この方々のお陰で、今、熊たちがカナダで剣道ができるのだ。感謝と、ご冥福をお祈りする。