あるサイトで、「現代剣道は実践では役に立たない」と書いた文を目にした。勿論、平和な現代、刀を人切りの道具になぞ考えてもらいたくもない話なのだが、剣道家で刀の扱い方を知らない人が多い事にも驚く。
全日本剣道連盟にはご存知の如く、居合道と、杖道も段位審査が行われて、それらが三種の武道が含まれている。
居合い道を遣られる方々の中には杖道も平行して学ばれている方々も多いと思うのだが、剣道を学んでおられる方々で、居合い道も学んでおられる方は少ないように思う。
統計を見たことが無いので、あくまでも推測の域を出ないが、あまりにも刀の扱い方を知らない人が多いのでそう感じるのだ。
だが、剣道と言うからには、剣=刀であるから、剣道家の方々は少なくとも刀の扱い方ぐらいは、勉強して欲しいと思うものだ。
この話はあまり書きたくない話なのだが、以前、アメリカで全剣連からの派遣で、指導講習会が開かれたことがあった。
当時、アメリカではまだ居合道が盛んでなく、講習生の一人が、筆頭講師の日本の先生、剣道八段に、全日本剣道連盟居合いを手解きして欲しいと嘆願したことがあった。
其の先生は、恐らく、居合い道は未経験で有られたのでは無いかと思うのだが、講習の時間を割いて、教本を読みながら、居合い道を説明、講習されたことがあった。
其の途中、がどうしたことか、刀に反りがある為に、逆鞘になり刀が鞘の中に納まらないと言う、無様な体をさらしてしまった。
まあ、とんだ、恥をさらしてしまった訳だが、何処かの大会で、剣道範士同士の形でも、納刀が逆鞘になり、失笑を買ったと言う話を聞いた。
現代剣道が、如何に竹刀の叩きあいとはいえ、剣道で有る以上、刀の扱いくらいは学んで頂いたほうが、絶対に良いと思う。
剣道には、剣道形も必修科目としてある。其の形を拝見すると、刀を扱っている方の形と、そうでない方の形には雲泥の差が出る。
ご本人が知らないだけのことで、見ているほうは結構目が肥えていたりする。恥をかかない為にも、いや剣道である以上、刀の扱いは必修科目であることも忘れてはならない。
模擬刀であれば、値段も高くない。木刀よりはぜんぜん良い。
木刀でも鞘つきの物もある。最低でも、抜刀、納刀くらいのお稽古はできる。
真の剣道を求められるのであれば、是非考えて頂きたい事柄だ。