Canada Youshinkan Kendo Dojo

コップの水。

昔の事だが、羽賀の親父がまだカナダに毎年来てくれていた頃、アメリカのシアトルからも沢山の人々が教えを請いに来ていた。

稽古後、熊の家に皆集まり、剣道話を質疑応答の形で、教えを請うた。其の中に大学で教鞭をとる白人が居た。

この人は、稽古熱心で、お人よしなくらい、人は良いのだが、如何せん、非常に不器用で稽古の進歩が非常に遅い人だった。

世の中には、良くそんな人も見かける。彼の場合、勉学が出来るゆえか、書物からの知識、それもかなり高度な書物を読み、禅や、武道書等から受けた知識、剣道に対する先入観が先立ち、それが邪魔をしていた。

其の彼が、こ難しい質問を良くするので、羽賀の親父が、彼に問いただした。

「コップの水を半分残し、其の後にお湯を足したらどうなりますか?」

彼が答えていわく。「温度が中間になります」

皆さんは如何考えますか?羽賀の親父は、教えを請うときは、コップの水を空にして、全ての言葉を一言一句間違いなく受け入れる姿勢が大事だと言うことを言いたかったのだが、「所変われば品変わる」では無いが、解釈も変わる?見たいな話に成ってしまった。

剣道上達の秘訣はこんな所にも隠れている。素直な心、全て受け入れる謙虚な心、剣道修行はこれが大事。

稽古の時は、何時もコップの水を空にして、お相手から、並々と水を注いで貰おうではないか。せっかく貴重な時間を割いて稽古をしているのだから、無駄にするのは勿体無い。