昔、師匠から「体に痛いところが出るのは、その筋肉を間違った状態で使っているからだ」と言われた。「本当の自然体は、体の全ての筋肉が自然に無理な負担無く使うから自然体なのだ」とも言われた記憶が有る。
勿論、剣道は有る面では格闘技、だから、筋肉負担が大きく掛かる事が有る。だが、剣道の場合殆どが自己の行為。打突にしろ、返し技にしろ、体当たり以外、相手からの力で筋肉負担を強いられる事が少ない。
と言う事はやはり、自己の動作、だから、正しい使い方をすれば、気肉負担は少なくなると考えられる。先日、熊の生徒が、講習会に参加した、その時右足の踏み出し方について、の説明があったらしい。
熊は、羽賀の親爺譲りの指導法を取り入れて、右足は低く幅広く踏み出すように指導をしている。目的(打突部位)は上でなく前であるからである。それに、そのやり方のほうが腰の平行移動が容易で左足蹴り出しの力が無駄にならない。
処が、その講師の方は、足を上に上げてそれで膝を前に出せと指導していたらしい。
これでは足がニ拍子になり、おまけに体重が一度上に上がる事に成る。
それでは鋭い蹴り足による一拍子の打突等は出きる筈が無い。
そこで疑問に感じた生徒が講師に問うた。「前足を上げると戻り足に成り、踵を傷めませんか?」と聞いた。そうしたら講師はこう答えたそうである。「その為に踵サポーターが有る」その話を聞いた熊は????と思ってしまった。
オイオイ、かかとサポーター成るものは、我々子供の頃には無かったし、我々の道場では着ける事を恥としている。何故なら足の使い方が悪いからそんなものを使わなければならない。正しい足捌きで打ち込むならそんな物の必要が無いという事だ。
これは羽賀の親爺も非常に煩く言われていた。踵サポーターは自分の悪弊を直すのではなくて、かばう物だ。そんな物を使っているから何時までたっても悪い癖が直らない。だからそれを使わなくても良い、踏み込み足を覚える事が大事なのだと。
だから自慢ではないが、熊の道場メンバーは、コンクリートの上で稽古しているが、踵サポータをしているものは一人も居ない。傷めない朝捌き、打突踏み込みを実行させている。
こんな間違った事を平気で教えていく。日本で有名範士かもしれないが、とんでもない事を教えていくものだと思った。その他、彼の指導で疑問に感じた事は沢山あったのだが、自分の道場の生徒の参加が少なかったのでほっとしている。
そして、その指導方法を聞いていて、疑問を感じた、我生徒はそれだけ勉強していたと言う事であろう。この頃、情報が氾濫しすぎていて、何が正しいか、何が 間違いか解らない状態に成って居る。正しい情報の元に稽古できる連中は幸せだが、そうでない連中は、悲しい思いをせねば成らない。
昔から言う、「三年待ってでも、良師を選べ、金の草鞋を履いて、師を探せ」と
今になって、良師の元で稽古させて頂けた事を、感謝せざるを得ない。