剣道は、先ず視覚神経で相手の動きに対処する。相手の気を読む等とは可也熟達した人のいうことで、殆どの剣道家のレベルでは、視覚に頼っていっても過言では在るまい。
目で見えたものを脳が瞬時判断して、如何対応するか決めているのだ。若し、剣道する人が全盲であれば、剣道は成り立たない。
これを以前、研究された方がいたらしいが、答えは全盲では剣道は不可能と言う結果しか得られなかったと聞く。
先ず相手の動き、気配を、視覚で脳に伝達され、それが、反射神経に伝達されて、こちら側の動作を起こす。ということだと思う。
それでは、脳で感知した信号を、どのように、体に指令を出すのであろうか。多分、脳に近い部分から伝達されるであろうことは容易に想像できる。
詰り、足より手のほうが伝達が早い、ということに成ると思う。
ご自分の稽古を振り返って頂ければ分かると思うが、足より手が先に動くのが通常だ。
だが、高段者の中で、極まれに、今は非常にすくなくなった、スピード重視の剣道に変化した為だと思うが、非常に足捌きの良い範士の方にお目にかかる事が在る。
構えを崩さず、足で間合いを取り、お相手の攻撃を裁く。最近は少なくなったが一昔前は、こんな沢山の範士にお目にかかれた。
剣道で、本当に凄いと思うのは、そう言う運動神経や、反射視神経を超越して、初めて求める運動が出来るように成ると言う事だと思う。
先ず自分の剣道のレベルを引き上げたいと感じたら、手よりも足の動きに重点を置いて見るのも又面白いかもしれない。
手は、ほっておいても、脳の指令に順応性が高い。だが足は中々そうは行かない。だから、そうでない所から、不自由な所を、自由を得るようにするのが、早道だと考えている。