笹森順造先生の教え。「切っ先、身体、気合」
相手を攻めるのに三つの攻め道具が有る。
この三攻一致を習う事が大切である。
やたらに切っ先を振り回したり、足を踏み鳴らしたり、
掛け声でわざとらしく脅かすのは皆下手な色となる。
目に見えず耳に聞こえず催しもなく、空なる所から攻め立てても、
何となく相手の心に鋭く響いて恐れられるようにならなければ成らない。
それは練磨の功によってのみ得られる。
三攻一致し、良くせめても、攻める事だけに心が捉われず、
相手から打突が出るのを防ぐ事も忘れず、
相手の攻めが出たら攻め返すか、外すか、
引き寄せるか、また、間を離すかすべきで有る。
それでも相手が深くせめてせめて来るならば、相手の間を破り踏み込み、
わが勝の間とするのである。攻防に当たっては有効な攻めと安全な守りが、
表裏するように心がけて稽古を励むべきである。
と教えられています。
しかし、熊は下手ですから、「間を離すかすべきで有る」処は遣っていません。
何故なら、間を離したとき、つまり引いた時に、不利になることが多いからです。
「それでも相手が深くせめてせめて来るならば、相手の間を破り踏み込み、
わが勝の間とするのである。」
これでは相手が攻めてきたときには勢いがあり、相手の間を破り踏み込むことが非常に困難に成ると考えるからです。
下がる方と、出る方、出るほうが勢いが有る、それを盛り返すのは余程の実力差がないと出来ません。
それならば、熊は相手が出てくる処を(出鼻)捕らえて、討ち取るか、打たせて取るように心がけて居ります。
何故なら、どんな名人でも打つときは必ず力が入るという教えも有るし、(出鼻の機会)
引いた分の力を盛り返すのは莫大なエネルギーを消費しなければならないからです。
これは長年の経験からですが、10cm下がれば20cm前に出なければ盛り返せません。
何故なら10cmだけ前に出たら元です。それでは攻め返した事にはならないからです。
三攻一致で攻めにせめて、出てきたら討ち取る、出てこなければ、崩して出て行く。
間の駆け引きではなく、地の力、底力で怒涛のような攻めを考えて稽古しています。