Canada Youshinkan Kendo Dojo

崩させない稽古。

早いもので既に10月に入りました。気候も一番稽古のしやすい頃、皆様には一段とお稽古に熱が入っていることでしょう。

さて、最近子供の掛かり稽古法で感じた事を書きます。これが絶対と言うわけではありません。ですが、取り入れてみる価値は絶対にあるはずです。
熊は、子供たちの指導に関して、一つだけ念頭において実行して指導してきたことがある。

それは、掛かり稽古で、わざと開けて打たせない。特に胴。

其れと、打ち込んでくる子供の業を殺さない事。この二つは絶対に遣らなかった。

詰まりのびのびと打たせることだけに心を砕いてきました。

だから、通常の掛かり稽古ではなく、どちらかと言えば掛かり打ち込み稽古と言えば良いのかもしれない。

何故其れを実践してきたか。

良く、下手な元立ちを見ると、わざと、胴を開けて、打ちをリクエストする方が居る。

これは愚の骨頂で、実際の打突機会は、ワザワザ相手が空けてくれた所を打つことは、皆無であるからである。

また、掛かり稽古中に、掛かり手が打ち込んでくる技を外したり、なやしたり、する方も見受けられるが、熊は絶対に其れをやらなかった。

昔の掛かり稽古法では、「悪いうちは外して打たせず、良いうちだけ打たせる」と有りますが、皆さん子供が瞬時打ち込んでくるその瞬間良い打ちか、悪い打ちか瞬時に判断できますか?

熊は未熟ゆえに本当にそれが見抜けるか、と問われれば、頭を掻くしかありません。はっきり、出来ません。

だから、何故、このやり方を取り入れたか、理由は簡単、崩れた打ち方を勉強させない。崩れた打ちは出させない。只それだけです。

打突は姿勢正しく、気剣体の一致した物でなくてはならない筈。

ならば、崩すことを避けて、正しい姿勢での打ち込み方だけを身に付けさせた方が、気剣体一致の動作が早く身に付くからです。

昔の書物に、掛かり稽古の受け方として、「上げ小手」と言う方法が書かれています。

詰まり構えたまま少し手元を上げる、そのことで面も胴も小手も打てる。

相手には出きるだけリズム感宜しく、タイミングよく、自由自在に、打たせる癖をつければ、自然に打突の機会は掴めるるようになるからです。

要するに正しい姿勢で、勢いの有る打ち方だけを身に付けさせる。子供はその方が、心根も真っ直ぐに強く成ります。

根性を鍛えると言う隠れ蓑の元に、けなげに打ち込んでくる子供の打ちを、なやしたり、はずしたりすると、苛められていると言う観念が沸きます。
精神上余り良くない遣り方だと考えるからです。

子供、初心者には、いや、有段者とて、素直に、正しく、勢い良く打ち込むことだけ教えればそれで良いのです。

究極我々は其れを求めて修行しているのですから。

勿論、ある程度実力が出てきたら、お互いの相掛りの中で技を競えば良いし、基本稽古の中で、連続打ち等も取り入れていけば良い。

そのほうが、正しい姿勢で打ち込むことが早く固まると思います。ご参考まで。