剣道は一日にして成らず。是は誰もが知っていること。
では、其の一日、一日を如何過ごすか、そこに、大きな鍵が隠されている。
剣道は意識して、自己を改革していかなければいけない。だが意識をすれば無心に成りきれない
非常に矛盾している話で、両方同時に行うことは、困難だし、無理がある。なぜなら相反するからだ。
だが、周りを見渡すと、欲張って両方一緒に遣ろうとしている方々が多い。だから進歩が逆に遅くなる。
本人は早くや伸びたいと思う所に落とし穴があるのだ。
何故こんな事を言えるのか、熊自身が同じ落とし穴に何度も、何度も落ちたことが有るからに他ならない。
そこで、羽賀の親父に言われたこと、
「お前何歳まで剣道を遣るつもりか」
(ハイ、一生続けるつもりですが)
「だったら、時間が有るな」
・・・・・?
「良い剣道をしようと、意識していることがあるだろう。」
(ハイ)
「その、意識を早く癖にすることだ、癖にすれば意識しなくてすむ」
ハイ???
「其の意識を、一つ一つ、癖にしていけば良い。其のうち全部意識しなくても出来るようになり、いい癖だけが残る」
(成るほど、時間が有ると言うことは、時間をかけて、一つ一つのポイントの意識を出来るだけ早く癖にすることを考えればいい訳ですね)
「そうだ、其の時に,幾つもの、意識を欲張っていっしょに直さないことだ。
意識が散漫になり逆効果になる」
「一点集中的に意識改革を続けて癖になるまで、遣っていくことが大事だ、其のうち、改革が意識し無くても良い癖が出揃うから、相手に打たれなくなる」
「と言うことは、其の頃には集中力も自然に身についている。つまり、無心で稽古が出来る」
「時間には限りがあると皆焦るが、それが一番行かん、剣道は一生掛けて修行するつもりなら、自分の生きている間、時間が有るのだから、何も焦ることはない。焦り、欲を搔くから物に成らずに終わるのだ」
「二兔を追うもの一兎を得ずだな」
此処まで書いたら、勘の鋭い皆さんなら、ご理解頂けると思いますが、如何でしょう。
例えば、左手の収まりを意識したとします。それを意識しなくなるまで、それだけに取り組む。
剣先と、間合いの意識、左足、踵,ヒカガミ、姿勢、など等。全て
そうすれば一々考えなくても、左手が収まるようになる。そうなってから、次の課題に移る。
時間が掛かるようですが、どれも是も手をつけて全てが不十分のまま、ずるずると行くことのほうが、物にならないまま終わる。
急がば回れ。と同じことです。
上記の記事に、解説をつけてくれた剣友がいます。それも、此処で記載させて頂きます。
読者の皆さんのため、へっぽこ谷ヤンが生意気にも補足しておきます。
ここで言う「急がば回れ」は回り道のように見えますが、実は一番の早道。
しかもそれは平坦な道ではなく、螺旋階段、スパイラルなんです。
ですから到着したときは、知らず知らずの内に、ひとつ上に立っています。
ここまでは簡単な補足。 で、ここからが大事な補足。
この修業スパイラルは、実は永遠に上へ上へと続いています。
熊道に従ってのパーツ・パーツの改良→癖つけ→無意識での実現。
この個々の改良~無意識も、実は何度も何度も続くものなんです。
1回改良すればもうOK。ではないんです。
1スパイラルが大方済んだ頃、つまり一段上に登ったときには、
以前改良したパーツのさらなる改良点が見えてくる。ということです。
剣道は長生き勝負。 などと言われる所以でもあるでしょうね。
まだまだ長い道のりっすよ。(^^;