昔話で恐縮だが、小川忠太郎先生と村雲前師匠の葬儀のときお茶のお世話をさせて頂きながら、お話をさせて頂いた時に、昔話をされた事を思い出した。
現在全剣連規定では剣道最高段位が八段になって、剣道家の精進の夢を打ち砕いてしまったが。昔、日本には5人の10段が居た。それについての話である。
剣道十段を拝受された先生方は、小川金之助、中野宗助、斎村五郎、持田盛治、大麻勇次の五人の先生方だ。
この五人の方々、全て、京都の武道専門学校出身。内藤高治先生、の教え子たちなのだという。
時を同じく東京には、高野佐三朗先生が高等師範を教えておられた。だが、何故、高等師範学校出身者に10段が出なかったのか。
是は、人物教育をしたか、運動競技教育をしたかの差だと小川先生が言っておられた。
だから、今の全剣連が奨励して、試合選手だけがもてはやされる時代だから、運動競技が主体と言うことであり、剣道理念が人間形成だと言いながらも、事実上それは不可能なんだと認めた結果、八段と言う制限を設けてしまったのでは無いのだろうか。
自らの、奨励策、剣道教育は人間形成にはなんら役立たないのだと言う事を安易に認めたに過ぎないのだと熊は思っている。
10段位は、人徳高潔でなければ成らない。現在の剣道からは、九段すら生まれないのだから、剣道人に人徳高潔を求めるほうが無理な話か・・・・・・
自分で自分の可能性を否定したところから、何が生まれるのであろうか、
剣道の未来に、一抹の寂しさを禁じえない。