此処の所、如何言う訳か、新人さんの申し込みが多い。其れも白人?カナダ人?英語しか分からん人。さん達だ。
通常、白人さんたちが剣道に興味を持つのは大体何か映画に影響される事が多い。昔は「乱」「影武者」最近では「キルビル」「ラストサムライ」のヒットが白人さんを剣道に近づけたが、だがそんな連中の殆どは消えていく。
今回は何があったのか分からないのだが、今年に入り3人、おまけにモントリオールから越して来た経験者が二人。一度に五人も増えた。
昨年、秋に始めた二人が、今丁度防具をつけ始めて打ち込み掛かり稽古をやらせている。中々二人とも勘が良い.一人はアキラの友人。モデル並みの美人の女子大生。
中々運動センスが良いのと結構頑張りや。アキラより伸びるかも知れない?。笑。もう一人は、男性で競泳を遣っていたとかで、スタミナ運動神経抜群の22歳。二人とも若い。
良い感じで、一年前に始めた中年の連中。半年前の連中、最近の連中。生徒にしてみれば、上達具合が手に取る様に見て取れるので見学に来て、なおさら興味が沸くのだと思う。
初心者を教えるのは手が掛かる。だがお陰様で4.5段クラスの生徒が育っているので、手分けして指導に当たれる。誰が教えても、指導方法、指導理念は同じなので安心して任せておける。
この白人さんたちに教える事で一番の大きなギャップは、文化の違いだ。
白人文化は自信とプライドを持つ事が最大の教育目的、其れをよしとする。だから、4.5段で簡単に天狗になる。6段も取れば神様だ。だから、昨年、熊の所にデンマークから来ていた選手は、打てる相手がいない養心館を離れ、他道場で高々4段で先生をしている。
居合道6段が日本剣道連盟を離れて(現在除名)自分の賞状を発行する審査会を開く暴挙に出る。そんな彼が審査した居合道五段が熊を差し置いて講習会の指導者を買って出る。着物屋の娘に着物の着方が間違がってると説教をする。笑。
実力が無くても、知らない事でも知ったかぶりをする。其れが彼らのプライドと自信なのだ。そんな具合だから、小さなことで言えば限が無い。
これは熊が30年指導してきて、今までその文化の違いに悩まされて、そのギャップが分からずに、何人も何人も教育に失敗し続けてきてやっと理解できた問題だ。だから、白人には剣道は理解できないとまで考えた事が在る。今もその不信感は少なからず在る。
剣道文化は、確固たる信念や自信を育てながら植え付けるが、其れを身に着けるその背景には謙虚さと言う事が前提に在る。謙虚さが無い剣道は剣道文化ではない。はっきり言えば白人文化に謙虚さは=自信の無さに映るのだ。そのギャップは世間一般で考えるより非常に大きい。
そこで、過去の経験から、彼等には初めに言い渡す事にしている。剣道を学ぶ目的の大きな一つは、平常心、不動信を学び取る為に遣るのだと、それには、謙虚さを身に付けることが大事だと。死ぬまで自分が学び続ける心を持つ事だと。どれだけ自信が在っても、慢心してはならないのだという事を、きつく言う事にしている。
この中で何人が将来に向けて自分の為の人間修行する生徒が出てくるか?
だが、何百年も続いて培われてきた文化背景は簡単に変えられるとは思わない。それでも、砂漠に水を撒くような、努力はし続けて行かなければ成らないのだ。30年カナダで指導に当たってきて、やっと得た教訓だった。