Canada Youshinkan Kendo Dojo

初太刀

剣道では、良く「初太刀を大切にしろ」とか「初太刀を譲るな」と言う教えを受ける。
そもそも「初太刀」とは何か。

私が考える初太刀は、相手と刀を抜き合わせて自発的であろうが、後発的であろうが、、初めて動く動作、切り込む動作が、「初太刀」だと考えている。

初太刀、と言っても人それぞれ捉え方が違う。最近では「初一本」等とも言う人が居るが、初一本は、現行の三本勝負の試合の中から生まれてきた言葉だろうと推察するが、その三本勝負では、初一本を取るまでにどれだけかの無駄打ちの末に、一本を取れる場合が殆どである。
その観点から見ると、初太刀と初一本は似ても似付かぬ物と言わざるを得ない事になる。初太刀は、それで、生死が分かれるのを初太刀と言うのだと、解釈している。

森島先生からの手紙の中で、「誰と遣っても、初太刀は必ず取れるように」と書いてあり、又、「初太刀を打たれると、落ちる」と書かれていた。「難しい事ですがそれを実践できる努力をしてください」と結ばれていた。
初太刀=生死の境。其処には三本勝負のようなゲーム性は無く、遊びも無い。だから、昨今の試合は=試し合いであり。仕(死)合うとは完全に次元が違う物だと考えたい。

今、普段の稽古で、若い剣士達と稽古をしているが、その稽古相手から、如何に初太刀を奪えるか、その工夫に明け暮れている。
それには、先ず気の充実しか方法は無い。体は勝手に動く。逆に色々考えて望むと、墓穴を掘ることに成る。

自己を信じ、「サーどうぞ」命を投げ出して、初めて、初太刀が物に出きるのだと感じている。
自分を高め、強くなる為の秘訣が、此処に在るのだと考えている。様は、一太刀、一太刀が命がけだと感じながら稽古をすることが、一番大事なのだと思う。