若い頃、剣道について、一人の剣道仲間に、剣道即生活的な、考えを否定された。
そこで熊は、何故自分が剣道を学ぼうとするか、真剣に考えたことが有った。
考えて、理屈は何とでもつけられるし、また実際、それらを謳い文句にしている、文献も少なくない。
剣道の理念は「人間形成の道である」と全剣連では言っているが、じゃあ人間形成とは何か?
剣道を通じて、世の為人の為に成る人間になる?
剣道をやっていない人だって、世の中の為、人の為に、役立って居る人間は沢山居る。
逆に、剣道をやっている人間のほうが、狭量で、我欲の強い人間が多いのではと思える、事柄を多く経験させられて、嫌気が差した。
そこで一つだけ、気が着いた事。
剣道を過信してはいけない。
剣道が、人間形成に役立つのではなくて、人間そのものが、どんな考え方で如何生きるか、それに全てが掛かっているのであると思った。
剣道そのものは、良師に着いて学べば真にすばらしく、其れを通じて、教えられることは、真に尊いことが多い。
だが、それに気づいていない人がどれほど多いか。
またその学びえた深さも人それぞれで、段が多いから人間が出来ている等とは、全く無縁の事。
段が低くとも、人間的に素晴らしい方も居れば、高段者でも、目を覆いたくなる御仁が沢山居る。
そこで、熊は最終的に、自分で言い聞かせている事、自分が楽しければそれでよい。
剣道は楽しむ為に有る。それが自分の生活設計に何らかの好影響が出るのであれば尚良い。
そして、自分が受けた好影響を、他人様にも幾許かの好影響のおすそ分けが出来たら、それで良いのだと、そう思っている。