Canada Youshinkan Kendo Dojo

左手の納まり

昔のビデオで京都大会の八段の立会いと、最近の八段の立会いを見ていて感じることがある。

一番気になるのは左手の納まりだ。最近の八段の方々には、失礼だが左手の納まりが確りしている方が少なくなった。此れは試合偏重で、叩きあいの上手い方が増えてきたせいなのか、どうかは解らないが、立会いの間中、左手がヒョコヒョコ動いている人が非常に多い。

昔の先生方は、見ていて確りと左手が納まり、其の気迫と自信が左手に表れていた気がする。

熊は若い4段くらいの頃に、榊原正先生に喧しく言われたことがあった。「左手の納まりはその人の剣道の位を表す、だから左手は確り収める稽古をしなさい」と

確か、全日本選手権、50周年記念大会のアトラクションで、谷口九段のお稽古を拝見した。
それは見事な左手の収まりで、日本を代表する七段や若手八段、範士の方々を微動だにしない左手で攻め立てて、おられたのが非常に印象に残っている。

だから最近、自分でも可也意識して左手の納まり、それを攻めに伝える工夫をしているが、左手が確り納まると、攻めが倍増されるくらいに、相手に威圧感を与える事を感じることが有る。

それとやはり一番大事なのは、左手が納まると、不動心と言おうか、相手の攻めに容易に動揺しなくなることだ。だから、左手の納まりは、その人の剣道の格を表すと言われる所以が良く解る。

未熟な熊ですら、呼吸法で、臍下丹田に集められた気が左手に膨大なエネルギーとなって伝わるのが解る。その気のエネルギーが左手を通り剣先にまで、目に見えない力となって出て行くのだ。

大範士の先生方とお稽古頂くと、何とはなしに気おされる感じがするのはこの気のエネルギーが剣先に現れている為なのだ。

先ず不動心を作り上げたいとお考えなら、左手の納まりを工夫されるのが一番の早道だと考えている。

熊は今、左手の親指の第一関節が、臍前、拳二握りの所に納めている。