長々と、書いてきた構えも遂に最終章を迎えました。
今回腹構えについての考察を書いてみたいと思います。但し、この腹構えは、熊が出来ていると言うことではなく、今もって勉強中だということを予め申しておきます。
若し、読者の中で、熊の考えに異論の有る方が居られれば、是非お教えを願いたいと思います。
先ず、熊が剣道を通じて、学ぶべきものは何なのかと考えました時に、生死を掛けた戦いで、何時如何なる場合でも冷静沈着に、泰然自若とした態度で物事に向き合わなければならない事を学ばなければ成らないのではと思い当たった訳です。
小川忠太郎先生も「剣道は生死の境を明らめるもの」と教えられました。
としますと、「何物にも犯されない腹構えを作る」これが、剣道を通じて学ぶ最終章、目的ではなかろうかと思うに至った次第なわけです。
剣道で、腹構えを作るという事は子供の頃から漠然と意識はしていました。ですが、それにはどんな方法がありどうすれば良いのか皆目見当も付きませんでした。
ところが、有る一冊の本を師匠から頂いて読んだのが切欠でおぼろげながら其の概要が掴めたように感じ出したからなんです。
話は少し長くなりますが、熊の未熟な経験と、過去の話を書くのは憚られるのですが、自分の人生がそれで大きく変わり、今もこうして生きながらえて剣道を学べる環境に感謝しつつ、如何に其の本に人生を導き出されて来たかを書かせて頂きたいと思います。
事は1996年の事でした。事業で窮地に追い込まれていた時に、丁度カナダに指導にみえられていた、師匠がこれを読めと熊にくれた一冊の本。中村天風師の「成功への実現」
と言う有本でした。
其の中には、人間の命の根源、宇宙の大真理、気、心の持ち方、について、非常に分かり易く、説かれていました。読んでいて、命が洗われるような思いがしました。
窮地に追い込まれた熊に取り、それはそれはまるで天からの声に等しい物でした。
1998年京都八段審査初めて1次通過、二次に涙を呑みカナダに帰国して、腹部に異様な痛みを感じて、病院で検査を受けましたが、原因が分かりませんでした。
ですが、検便では血液が降りている事から、内臓疾患がある事だけは事実です。
6度の検査でも、原因が分からず、最終的にカメラで見てもらった結果、大腸に物凄い大きさの癌があることが判明。医師からは、逢いたい人が居たら今のうちに逢っておくように、勧められるほどでした。医師は切ってみないと分からないといって殆ど諦めていたようです。
熊自身、死も覚悟して、自分の戒名も決めました。しかし、心のどこかではまだ死なない不思議な自信はありました。段々衰えていく体力。食事も殆どお粥に成っていました。
何度も襲ってくる、激痛に耐えながら9月1日まで道場に立ち、稽古をしていました。
9月2日に激痛に耐えかねて緊急入院、9月4日に手術を受けました。大腸を40cm切除。
患部はグレープフルーツ大に成っていました。ところが、不思議が起きたのです。
医師も驚くものでした、医師は奇跡だとも言いました。見たところ何処にも転移している形跡が無い、そこでお腹の中にあるポリープ癌専に送り、精密検査をさせたところ、全て白。奇跡が起きたのです。
執刀した医師が言いました。30年以上手術をしてきて、こんな事は初めてだと、彼が言うには、熊は剣道をしていたので、精神力、気力が癌の転移を抑えていた。そうとしか考えられない。と言いました。そして彼は付け足してくれました。
手術前の彼方の態度は見事だったと。今までの患者の中でこれ程平然と手術を受けた患者は居ない。剣道を続けてきて良かったですね。彼方は剣道に命を救われたと。
ですが、熊の心の中では、窮地に追い込まれて読んだ本の中で学んだ、クンパハカの法
丹田呼吸による意識の改革。これが熊の命を救ってくれたと。信じています。
人間、胆力を鍛えれば、素晴らしい人生が見えてきます。
不動心と呼べる心境にはまだまだですが、其の入り口を学んだだけでも素晴らしい効果我あり、嬉しく楽しく毎日が溌剌と生きられます。
この呼吸法を学んだお陰で、剣道でもビクビクする事が減りました。ハッとする事も減りました。打たれる事が怖くなくなりました。出来たら皆さんにも、この本を読まれることをお勧めします。
宗教の本ではありません。どちらかと言えば哲学書だと思います。ですが非常に分かりやすいです。過去何人かの人々に勧めましたが、読まれた方々から非常に感謝されて居ます。
ありがたい事だと感謝しています。クンパハカについては以前何処かで書いた記憶がありますので養心館のサイトの中を検索してください。現在熊の剣道観のバックボーンが、小川忠太郎先生と、中村天風師の教えです。
参考までに、森島建男、原田源治、賀来俊彦、羽賀忠利、各範士の先生方も勉強されておられます。