剣道では、相手を使うと言う言い方をします。
詰まり自分に主導権がある事を言います。
古い教えには「相手を引き回す」と言う表現も使われています。
さて、「攻め」についての考察ですが、
究極の攻めとは何ぞや・・・
要するに相手を手玉に取ることです。
色々な方法があるでしょう。一つではありません。
先ず、手玉に取るためには、相手を呑んで掛からなければ出来ません。
小太刀の名手、富田勢源が極意を聞かれて、「只、面白く、さらさらと、使い候」と述べたのも相手を呑んで居るからこそ出来るのです。
逆に、相手に、飲まれているから、心に四戒が起こり、足掻き、もがくのです。
イメージしてみてください。
勢源先生は、さらさらと面白く言っておられる情景。
得物は小太刀です。
当然、自ら、間合いに入って行かなければ、事はなし得ません。
間合いに入り、相手に打つ機会を与える。
相手が打ってくれるからこそ、其れを交わし、手玉に取る事が出来る。
ところが、間合いに入る途中で、「打たれたらどうしよう」等と躊躇が走れば、自由な動きどころか、固まってしまいます。
自分の命をさらけ出す。だから相手も簡単に切って取れると勘違いしてくれる。
攻め、相手に恐怖感を与えるのも攻めです。
攻め、相手に恐怖感を与えないのも攻めです。
意味は深遠ですが、やる事は簡単、一つだけ、打たれずに打ちたいの我欲を捨てる事です。