今は亡くなられた、大阪の西善延九段範士。
初めてお稽古頂いたのは26~7の頃。
それから、8段受験の50~52歳までの25~6年ご指導頂いたが、いまだかって、打てた記憶が無い。
強いとは、此の事かというイメージがその頃から熊の体感にある。
まるで、岩壁に掛かるような気がしていた。
強さの思い出では、中野八十治範士九段。教育大学の合宿で富山に御出で頂いた時、お稽古をお願いした。
全く掠りもできなかった。この時も年代は同じ。
当事、佐藤成明氏が監督で、作道氏が助手の頃。
其の頃はまだ、熊自体が出来ていないから仕方が無い。
だが、西範士には、年を重ねて、八段受験の頃だから、其れなりの剣道は出来ていたはず。
其れが全く手も足も出ない。
マア、西範士の師匠の小川忠太郎範士が、「西は稽古の遣りすぎじゃ」
と言わしめた位だから・・・驚く外無いのだが・・・・
其の八段受験の頃、に言われた言葉、熊の脳裏から離れた事が無い。
「お前は何故、熟しても居ない、渋柿を、柿の木をゆすり、地べたに落ちた汚れた、不味い渋柿を食おうとするのか。
柿は、時期が来れば、天地自然の恵みを受けて、甘くなり熟して、木をゆすらなくても、自然に地に落ちてくる。
其の機を手を出して受けて取れば、何も無理しなくても甘くて最高の柿が食えるのに。まだまだ、だのう」
此のアドバイスがなければ、8には到底成れなかったと思う。
熊が何時も言う、初太刀、完全ホームランの秘密が此処にある。
お解り頂けるであろうか?