ニューヨークで写真家をしながら、剣道にいそしんでいる、熊の同朋、加藤彰三さんが今回、京都で見事に八段に合格された。
彼とは長い付き合いで、付いた師匠も同じ、彼は広島出身、その関係で、中西康範士、羽賀忠利範士に薫陶を受けてきた。
先生方を二人で、長い間にわたり、費用を分かち合いながら、カナダ、アメリカに招聘してきた背景がある。いわば兄弟弟子。
先日、亡くなった羽賀先生の葬儀にも態々ニューヨークから駆けつけた熱血漢でもある。今回、三月末にバンクーバーで行われた、全米の審判講習会でも、久々に剣を交えて、思い切りの良い面を打ち出されて、2本完璧に頂いた。この分なら大丈夫と、太鼓判を押して審査では何も考えず、、思い切り遣るようにアドバイスしておいた。
彼の合格は我が事のように嬉しい。我々が、此処、北米の地で研鑽してきた剣道の方向性は絶対に間違っては居なかったと言う証明になったからである。それに彼は、剣道専門に生業をしている訳ではない。
写真家として、雑誌や、グラビアの挿入写真を撮り続けて研鑽してきたのだ、その点、自営の熊と同じだ。彼は居合道も七段。
これは恐らく、どんな環境であれ、正しい方向性を掴み、正しい努力さえコツコツ積めば、誰にだって8段まで到達できるという夢を与えてくれるに十分な出来事ではなかろうか。
剣道はあくまで自分との戦いである。全てにおいて、自分との勝負である。恵まれない自分の環境を逆手に取り、其れを生かしながら、良い環境の元でぬくぬく稽古をしているより余程良いのかも知れない。先ず、覚悟が違うのであろうと思う。
道場一つ借りるにも有料で金を払わなければならない。竹刀も道具も日本から比べれば非常に高い。修理も全て自分でやら無ければ成らない。
それでも剣道が好きで好きでたまらないから、続けてこれた。
今は北米にも道具やが数軒出来て幾分遣りやすくは成ったが、日本と比べれば、雲泥の差がある。
真剣に学ぶ心さえあれば、環境など、物の端にも掛からないという事だろうと思う。
彼の今回の快挙、心より祝福申し上げたい。