Canada Youshinkan Kendo Dojo

何処まで

人間、何処まで強くなれる物だろうか。以前、羽賀の親父は85歳の時に、「もう此れでこれ以上は強くならないだろうな」と言ったのを今でも記憶に新しい。

其れと、其の時こうも言った。「自分の剣道人生の中で今が一番強い」85歳で、普通ならば、年で体が弱り、運動能力は落ちているはずなのに、今の自分が一番強いと言い切れる。

85歳まで、強くなる努力をしていた事に驚愕もしたが、今の自分が一番強いと言い切れる。それだけの充実感を持って剣道に取り組んでいた。

何とも、言いがたい崇高な境地を垣間見た気がした。

其の頃から、腰が極端に曲がりだし、痛みを伴ってきたので稽古から離れられたが、時間の有る分、古い武道書を紐解いて、90を過ぎた今でも研鑽に余念が無い。

果てさて、ここを読まれる方々の仲に、今の自分が一番強いと言い切れる方がどれだけ居るだろうか。勿論、自分の剣道修行の中ででの話だが、毎回の稽古に全力で取り組んでいなければ絶対に口には出来ない言葉だと思う。

事実、熊自身は83歳まで、親父に稽古をつけてもらったが、自分で此れだと言う打ちは一度も打てたことが無い気がする。それだけ親父は強かった。何時も軽くあしらわれて、翻弄させられてしまった。

自分も還暦を過ぎ、まだ面を着けて若手とバリバリ稽古はしているが、ヤハリ自分の剣道人生で現時点が一番強いのだろうなと感じている。

そして、まだまだ伸びれるだろうなとも思っている。何処まで強くなれるか、親父と呼ぶ良い師匠の良いお手本が今も自分の脳裏の中に有る間は、自分もどこまで強くなれるかチャレンジして行きたいと感じている。

博学多才な、親父を超えることなど到底無理な話だし、不肖の弟子として認めて頂いたからには、少しでも近づけたら、其れが一番の親孝行だと思うからである。