昨夜の稽古、一番乗りは、ユウノスケ、彼は本当に力を付けた。だがまだ子供、どこかに甘さが出る。これは仕方が無かろう稽古と経験と時間が解決してくれる。
嬉しい事に、本当に熊の稽古相手が務まるようになった。18才誕生日を迎えたばかりだが、下手な4段の力を超えている。
二番目に白熊がてぐすね引いて掛かってきた。熊は白熊とやるのが一番面白い。
力一杯やれるからだ。全身全霊を掛けて対峙する。面白いよ、打つ打たれるではない稽古が出きるから、崩せるか、崩されるか、どちらかが崩れた時は、片方が飛んで居る。
この時だけは、本当に無心に成れる、考えたり、作戦を練ったり、細工をしたり、そんな暇も心の余裕も全く無い、お互い真剣そのものだ。おまけの親子だから遠慮が無い。
強かな突きも出せるし、面でも思い切り捨てる事ができる。イヤ捨てなければ打てない。
自画自賛だと思わないで読んでいただきたい。白熊は本当に強い。日本から八段の先生方が来られても、皆さん稽古では必ず苦労される。日本に出向いた時でも稽古をお願いした八段の方々は必ず、息子さんは元気ですか、剣道をやっておられますか、と訪ねられる。
それだけ印象が残る。佐藤博信範士に言わせれば、とっくに親爺を超えているそうだ。「以前京都で、親爺の剣道は臭いが、息子は良いからね」と紹介されて、照れ隠しに、大笑いした事がある。
彼は構も良いし、気攻めも強く、何しろ崩れない。技はそんなに起用では無いが、それだけ、無駄な事をしてこないので、業を出す時は豪快に来る。先ず竹刀を横に振りフェイントをかけてくることが殆ど無い。真っ向から割って入ってくる。
その彼と、丁々発止とやる。かといって手数は多くない。1本、1本が崩すか崩されるかで稽古をしているので、お互い気攻めが中心に成り、無駄打ちが出来ないからだ。
下手に手を出せば必ず墓穴を掘る事に成る。だから真剣に成らざるを得ない。
彼との稽古の後は汗ビッショリ掻いて体が非常に楽になる、気のテンションが上がっているだけに、他の生徒が少々気合を入れてきても、此方はビクともしない。やはり稽古は強い相手、強い相手とやららなければ効果が薄い。
若し、稽古仲間に強い人が居なかったら、子供と一緒に掛かり稽古をやれば良い。
白熊、黒熊が子供の頃、熊も一緒に打ち込み、掛かり稽古をやってきた。
だから、自分の身体を掛けて、習得した動きはそう簡単には消えていかない。
年齢さ27歳、息子と命をかけたバトルが繰り広げられる。これほど面白いことは無い。