Canada Youshinkan Kendo Dojo

「身構え」 

身構え(中段)についての考察

身構えは、美しい自然体が望まれるが、剣道の攻防に中で、自由に自在に動け、機と見れば瞬時に攻撃に移れなければ意味が無い。その観点から、力の無駄使いを極力避け、合理的な態勢を維持していなければ成らないと考えている。

先ず足から考えてみたい。足幅は、少年指導要領の中では「約一握り」と書かれている。熊は足の外側が御尻の幅、腰の幅が一番バランスが取れて、蹴り足の力が床に一番上手く伝わると考えている。

是は以前、SKI指導員をしていた時に感じた事が発想の原点に成っている。昔、日本ではSKIは足を出来るだけ揃えて滑ることが良いとされていた。だがカナダでは、足幅をある程度開き、滑るように指導員試験で矯正されたからである。

その考えは、足の幅が狭ければ、モバイル、ヤジロベイ、逆三角形で安定感、バランスが悪くなると言う考え方から来ていた。つまり足の外側が腰の幅が同じであれば、体の体重が両足に均等にかかり、安定感を増す。と言うことだ。
(SKIではそのほかの理由もあるのだが、此処では関係が無いので省く。)

是は柱を考えてみれば簡単に理解できる、柱は真っ直ぐに立つ柱と、斜めに立つ柱、どちらが、強度が在るだろうか、真っ直ぐ立つ方が強度が在り安定感もある。
モバイル状態では逆三角形だから斜めの状態に成るということになり強度が落ちる。

打突時に左足で、床を蹴り、体を前進させる。その足の蹴り出す力を斜めの状態から蹴り出す方が強いか、真っ直ぐの方が強いか、賢者はお判りいただけると思う。
この説明はこの後の説明にも関係してくるので、念頭に入れておいていただきたい。

さて二番目に、足の内側が平行になって居なければ成らないと言う事。
よく見かける事だが、以外と左足が開いて、俗に云う撞木に成っている方々を多く見かける。特に高齢者に多い気がする。

だが、羽賀の親父も80を過ぎていたが両足は見事に平行を保たれていた。
「120秒心の戦い」の中で、持田範士の足も見事に平行を保たれて、非常に軽快な足捌きを披露されていたのは皆さん記憶があると思う。

羽賀の親父は80を過ぎていたが、160cm前後の身長で、192cmのアレックスを相手に、面に飛んで打っておられた。何故それが出来たか、親父は足が 平行だから、蹴る力が無駄に成らないと言っていた。それを検証すると、撞木は、足の親指の付け根近辺だけで蹴ることになる。

平行な足では、足指の付け根全体で蹴る事が出来る。足親指近辺だけの力で蹴る方が良いか、足の裏全体の力で蹴る方が良いか、足の指付け根全体で蹴れば、アキレスに伝わる力が全体でふくらはぎの筋肉全体が使えるつまり足全体の力が使えると言う事になりはしないか。

今まで稽古中、数人のアキレス切断を見てきたが、アヤコ以外、(彼女の場合コンクリートの床が原因だと考える)殆どが撞木足になっていた。丸めた新聞紙は引きちぎれないが、新聞紙の端から割けば簡単に割ける。

物事の道理は同じでは無いか。ぜひ足全体の筋肉を上手く使う為に足は平行を維持していただきたいと考える。

次に足の前後幅である、前足の踵のラインに後ろ足の爪先が来る、是が基本だが、
選手権の試合など見ると先ずその足幅で試合をしている選手は見かけない。何故か。
それは彼等はマダ、運動神経、反射神経で試合を進め、間合いの駆け引きに対応しているからに他ならない。

他の運動競技を見れば解る、バスケの足幅、バレーの足幅、皆広いはずだ、その方が瞬間的な動きに対処しやすいからだ。だから競技剣道では足幅が広く成って しまうのは仕方が無いことなのだが、だが、本来剣道では攻めて、間を詰めてそこで我慢をして、冷静に相手の動きを洞察して、討ち取る此処が高段者の高段者 たる一番違う所なのだ。

運動競技になれば20代でピークを迎え後は体力の衰えと共に退廃していく。
処が剣道はどうだ、若い選手が範士を打てない。それは何故、胆力、技、読みなどが経験上優れているから、できることである。

その為には足幅を広く間合いに出たり入ったりしていは、本当の機会が捉えられないということに成る。だから、高段者に成ればなるほど、前後の足幅が狭くなり、それゆえに、溜めが出てくるし、静から動への動き転換も容易に出来るようになる訳だと思う。

前後足幅が広いと言う事は、つまり運動能力だけの剣道、つまりスポーツの段階。
前後足幅が、整ってきて始めて、武道としての剣道が磨かれるのではないのだろうか。
そのように考えている。基本通りの前後の足幅、早く身に付けたほうが勝ちだと思う。

次は身構えで体、姿勢などに付いて触れたい。