Canada Youshinkan Kendo Dojo

虚実の攻め

剣道において、虚実の攻めとはよく言われることだ。

大先生方は、「実を攻めて、虚を打つ」と言われる。此れが難解。

そこで、実は充実していて、隙の無い所。虚は不十分で油断、隙のある所、と簡単に解釈しておけば間違いが無い。

だが、実際の稽古の中で、何処が実だか何処が虚だかそんな事が簡単にわかる訳が無い。

大体、瞬間的な判断を五感が感じたとき、体が自動的に発動しなければ役に立たない剣道において、オ!今が虚だとか、此処が虚だとか感じた瞬間はもう既に機会を逃していることに成る。

では、どうしたら 其の虚を掴む事が出来るのだろうか。

熊は、日本に帰国するに際し、良く警視庁で稽古を頂いてきた。
あそこの先生方は、とにかく、有無を言わせぬ強さがあり、こちらがどれだけ充実した気勢を示していようが、お構い無しにガンガン出てきて討ち取られた。

つまり、実を攻めて、実で討ち取る。とでも言えば解るだろうか。
その経験から、熊も、出来る限り其の強さに近づけないかと、お粗末ながら、努力をしてきた。

そこで少しだが理解できてきたことがある、実は、強い人は、相手が如何様であろうとも、実でで攻めて、相手が瞬間的に怯む、其の瞬間。つまり虚になる所を、打つと言うことが理解できた。

だから、虚実の攻めは、相手の虚を探すのではなくて、相手の虚を作り出す。要するに攻めて崩して打っていると言うことだと理解している。

それだけ、強い有無を言わせぬ攻めの強さ、気あたりが身について始めて効果が出るのだと言うことが理解できる筈だ。