熊の剣友が某八段から、まだ早打ちする傾向を指摘されたらしい。
現在の、審査ではどうかは知らないが、昔は京都大会でも1本も打ちを出さずに立ち合いを終える事も見かけた。
これには賛否両論が有り。意見が分かれていたが、熊が考える処。
第一に、立ち会う二人に、どれだけの緊迫感が有るか、如何かで観点が別れるのだと思う。
お互い慎重に成りすぎて、技が出ないのは頂けない。
だが、お互い全力で攻め合い、その中で、技を出した方が負けを取る。
そんな緊迫感がビシビシと伝わる立ち合いは賞賛されてしかるべきだと思う。
審査会でもこんな事が有った。
昔の八段は風格を非常に重んじた。それゆえか、技を一度も出さないで合格した人もいたらしい。大昔である。
だが時代が移り、審査で技を出さなかった立ち合いに、小川忠太郎先生は、技を出さなければ、観ようがない。と喝破された。
京都大会の立ち合いでも、京都の丸田範士と、広島の中西範士の立ち合いは1本も技を出すことなく、その年お二人は九段に昇段された。
この立ち合い熊自身が見て居たので、書けるが、鳥肌が立つくらいの緊張感が有った。
又それ以前にも玉利九段範士と佐藤顕範士、九段同士の立ち合いでもそんな立ち合いを見た。
だが、七段クラスで、1本も出さない立ち合いは、否定されて居る。
それは緊張感がないまま単に慎重に成りすぎて、技を出さなかった場合だ。
其処には雲泥の差が有る。
戦気が極まり技が出せないのと、慎重に成りすぎて、恐れて、技が出せないのとでは、違って当然である。
そこら辺りを、我々は確り、心に言い聞かせる事が大事だろうと思う。