Canada Youshinkan Kendo Dojo

冬へ、其処で止まってしまったら。

バンクーバーは10月に入ると、雨の日が多くなり、気温がぐんと下がりだす。気の早い街路樹は、黄色い葉を空中に撒き散らしながら、殆ど全裸近い状態に成っているのも出てきた。

10月13日はサンクスギビングデー、感謝祭。伝統を守る家では七面鳥を焼いて祝うのだが、大家族が揃わない家庭ではこの風習も段々忘れ去られる風習に近くなってきたようだ。

秋の収穫に感謝する、そして、収穫後のささやかな祝いを家族とともに過ごす週末、3日間の連休。養心館でも、土曜に会員とパーティーをすることに成った。

日ごろ道場で、聞けない奥深い剣道談義、それを皆期待している。
喋る方は、羽賀の親父の受け売りだから、無責任この上ないが、しかし、段々自分の年齢が上がるにつれ、親父の言わんとしていた事が理解できるようになって来ている。

まんざら的外れな教えはしていない積りだ。今年はおかげさまで会員がドンと増えた。?と言うより、それぞれが其れなりに上達してきたので、話が理解できるようになってきたと人が増えた、と言う方が正しい。

昨夜、タケノリパパが、剣道の稽古で何か参考になるものは無いかというので、2008年の京都大会のDVDを鑑賞しながら解説をした。

彼は、段位も要らなければ、試合にも出ない。それは意固地でそうしているのではなく、酪農と言う仕事柄、搾乳で、丸一日あけて昇段審査や試合に出ることが許されない環境に住んでいるからだ。

朝晩、決まった時間に畜舎の掃除を兼ねて、片方では搾乳をしなければ成らない。其の時間を狂わせたら、牛が病気に掛かるのだそうだ。だから大幅な時間を割いて、審査、試合は出れないのだ。

だから、自分の人生の為に剣道をしている。毎日真剣勝負で仕事と取り組んでいる。こんな人間は見るところが鋭い。八段でも、試合場の出入りに、竹刀の携刀状態の悪いのを指摘した。立ち上がりの剣先の攻めあい、間合いの不用意さ、此れが好い加減なのも見抜いた。

剣道の段は低くても、腹で真剣勝負で剣道を捉えている人間には、うそは通じない。「剣道即生活」とはよく言われることだが、それを実践している、実業家は剣道高段者の上を行くと考えさせられた。

剣道高段者は、単に叩き合い上手いだけ。そんな時代がすぐ其処に来ているような気がした。

自然界も冬に向けて、寒さを増す。剣道界は????

来年の春が又来る等と気楽な事は言ってられない気がした。