Canada Youshinkan Kendo Dojo

「剣道に対する姿勢と心構え」

熊流審査員の目

剣道を修行している人々で、何%くらいの人々が姿勢について、気を付けて稽古をしているだろうか、恐らく四段以上の受験を心掛けている人々ならそれなりに意識をしているに違いない。

構える姿勢、立ち姿、打突時の態勢、全てにおいて気を付けて居られる事と思う。
ではその中で、何%人が稽古着、袴、お道具に気を配っておられるか。
通常審査では皆さん新しい稽古着、袴で、受験される方が非常に多いと思います。

だが気を付けなければ成らない事があります。袴は新しすぎると、ごわごわで、正座から立ち上がりますと、袴襞と糊がそのまま邪魔をして、とんでもない姿に 成っている事があります。袴は必ず2~3度履き成らして、軽く洗い流して糊を取り、自然に流れるように履く事に気をつけ無ければ成らないと思う。前下がり 後ろ上がりは当たり前。
当然色落しもしておくべきです。

又、稽古着の落とし穴。稽古着で皆さん審査に奮発して、手差しの稽古着を着ている方が多いのですが、審査委員からは稽古着が手刺しか、機械刺しかは分かりません。
ただ熊の今までの経験で手刺し稽古着は脇が余る嫌いがある、何故か分かりませんが仕立ての問題だと思いますが、脇が余る為にその分脇の横から背中にかけて皺が溜まる。その為に猫背に見れる事があります。

勿論個人差がありますので一概に言えませんが、稽古着はお大きすぎず、小さすぎず、
身体にぴったり、背中に皺の出ないものが一番良いと言うこと。
構えた時に後姿に磐石の強さ、壁が見えないようでは高段は無理です。
メーカーにより多少裁断法も異なりますので、当然着た時の見栄えが異なります。
其処まで気を使うべきだと思います。色褪せが極端で無い限り大丈夫。

審査の後、面を取ると、新しい稽古着の方が顔中真っ青にしている方が居ます。これも頂けませんね。真新しい新品を使うことは良いのですが、色落しをしてし て、着装したいものです。顔が青くなるという事は、審査前の下準備を怠っていた。と私は感じます。それだけで審査を受ける心構えが出来ていないと判断いた します。

お道具で一番目に付くのは、やはり面紐です。結び目から40CM以内長さを揃えて、
これは決まりではありませんが、指導事項通達事項として連絡されています。
其れを守れるか否かで剣道に対する取り組方が問われます。

それと、これが気づかない方が非常に多い、面紐が面の横でよじれたまま、付けている人です。これも心の油断です。面紐は捩れなく面を顔に取るつけるべきです。

言うまでもありませんが、面手拭の端が後頭部よりひらひらさせて出てくる方が居ます。とんでもないことですから、気をつけてください。ご高齢の方に非常に多い。

籠手、結びの糸(紐)が長い人が居ます。これも必要以外の紐は切りつめて、処理をして置いてください。勿論、破れた籠手を使うなどは、安全上の問題からも使用はしてはいけません。

胴は、後ろの紐を長くたれ下げて縛る人が居ます、大学生に非常に多い。
これも駄目です、後ろの紐は、袴の腰板の部分で確り蝶結びにしておきましょう。
又胸に回した紐も残りの部分は胴胸の中に入れて始末をして置きます。

タレは、タレ紐が小タレの下に隠して置くように。

それと、お道具は、やはり手入れの行き届いた物で受験すべきです。
余り継ぎ接げだらけのお道具は感心しません。
出来れば藍色で、お色直しをしておくくらいの気持ちが欲しいと思います。

審査は総合的な強さを審査します。しかしながら、その強さは、其の剣道家がどれだけの心構えで剣道に取り組んでいるかの審査でもあります。粗野で叩き合いが強ければ良い時代はもうとっくの昔に過ぎ去っています。心したいものですね。