Canada Youshinkan Kendo Dojo

「基本打ち」

基本打ち、剣道人なら誰もが一度は習う事になる。だが、この基本打ちなうもの、非常に奥が深い、意外とそれに気づいている人が少ないのに驚く事がある。

昔、熊の弟分で富山で少年指導をしている、現在教士七段が、熊に言った事がある。
「熊ちゃん、今更中学生が遣るような基本打ちは良いです。モット高度な事を教えてください」

熊は言いました、「ほうじゃあーお前中学生が遣る基本が出来ているか」
(出来ていますよ!!)「ジャ、何で六段4回も落ちているんだ?」(は~~?#><)

「お前は基本打ちは型だと思っちゃ居ないか?あのナ、俺が考える基本打ちとは、打突の完成された姿が基本打ちだと考えている。つまり、審査であれ、試合で あれ、稽古であれ、基本通りの打突が出たら、必ず受かるし勝つ。其れが出来ない内はお前の剣道は偽者なんだよ」とマア、兄弟見たいの男だから、言葉の遠慮 も無く言ってやりました。

彼は悔しがりましたね。それから、熊は彼に特に基本の面打ちを、間合いを分けて、
遠間、触刃の間、交刃の間と三つに分けて、打ち方を徹底して稽古させた。

打ち方、上半身の使い方は間合いに関係なく、全く同じ。違うのは間合いによる足の使い方だけでした。特に彼は身長が小さいので、足の働きは重要視しました

つまり。遠間=送り足で間に入り打つ。右左右と足で身体を前に運び打突する。
触刃=継ぎ足で間に入り打つ。左足を引きつけると同時に、右足で踏み込む。
交刃=その場から一拍子で打つ。このときの左足の二度踏みを徹底して直した

それで、半年後、彼は6段に見事合格。そして、七段は一発合格果たしました。
それ以後、彼は中学生と同じ基本打ちを高度に突き詰めて毎回の稽古で稽古しています。

また、有名な持田盛治範士十段の遺稿に、「基本を身体で学ぶのに50年掛かった。」
と言われています。素晴らしい教示だと思います。これを深く考えて見ますと、物凄い奥が見えてきます。

普通の稽古、審査、試合であれ、何であれ、自分がココゾと感じた機会に、基本通りの打突で一本取れる方、其れが出きると思う方、ここを読んでいる人は何人居るだろうか。

恐らく「0」でしょう。だから、持田先生でも50年掛かったと仰るわけだと思います。
熊も及ばずながら、其れを身に着けたいと頑張っていますが、夢のまた夢です。

基本は型ではありません型が形になり、無形になり初めて身体に染み込むのです。
其の身体に染み込んだ、無形の形が自然発生で行われて初めて、基本が身に着いたと言う事なのでは無いでしょうか。

基本を、甘く見ている人は、剣道そのものを知らないと言われても仕方が無いのでは無いでしょうか。小学生、中学生に教えている基本、少年指導要項の中に書かれている基本、アレを、実際の稽古の中で、何時でも何処でも其の通りに出きるように成りたい。

其れが今の熊には夢であるし、目標であります。恐らく命果てるまで完成できるか?
小川忠太郎先生ですら、自分の人生の中で打てた真面は、数えるほどしかないと言われていた。とてつもなく、遠い遠い道を我々は学んでいるのです。