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「柳生流極意」

新陰流兵法目録始終不捨巻に、心之持所三関と言うのがあり、

柳生八代、厳春道機斎の書に

「心の持所と云うは、腹、背中、西江水と三つなり、腹を押し押す心もち成れば、背中の中筋に力わたるなり、。その二つこりて固まらぬように、総身へ心のたんぶとわたって、力みも無く、抜けた所もないを、西江水と言うなり」

とあり、

柳生但馬守宗矩六十歳の時の秘伝書に、

「西江水、ソノママノスガタ、」とか、
「西江水、心を定め、たんぶと水に入て、敵をのんで以って不動と云心也」

と言うのがあります。

原文のまま、読まれてご自分で解釈された方が間違いがないと思いますが、理解の難しいと思われる方々の為に、熊也の解釈をつけて見ます。

八代の厳春先師の言葉が熊には非常に分かりやすいのですが、

腹を押し押す=下腹部を膨らませる感じ、つまり丹田に力を込める。心もちですれば、
背中の中筋=背骨がシャキット伸び、背筋に力がみなぎる。背中の壁が出きる。
だけど、其の力を、凝り固まらないようにして、体中に神経を行き渡らせて、何処にも力みも無く、油断(気の抜けた処)の無い状態を西江水と言う。

西江水=とは満々と水を満たし、弛まず流れる川のイメージから考えれば、何と無く感じが掴めるのでは無いだろうか。流れは一所に膠着せず、何物も押し流す力を持ち、かといって、激流ほどの荒々しさも無く、静かに静にただ、秘めた力を持ちながら流れていく。

そんな相手に重圧が掛かる気構え、剣道の教えではないのだろうか。
だからこそ、「西江水、ソノママノスガタ」も理解できるし、
たんぶと水に入て=水そのものとなり、相手を気迫でのんで、不動の強さが出てくる。
と言うことに成りはしないだろうか、

そう考えれば、丹田に力を込め、背中を伸ばして、身体に力み無く、油断無く、構えれば自然に相手を気圧す力が出てくると言う事だと思う。